多くの相談機関では、一度不登校状態になった子どもを無理に学校へ行かせることには問題があるとして、しばらく待ってあげましょうと指導されます。
現状把握のために、しばらく様子を見る時期は必ず必要でしょう。しかし、無期限でとりあえず待ってみてというのは問題があるかもしれません。打つ手がないのでしかたなく待つのと、手法の一環として「待つ」のでは、大きな差があります。
手法の一環として「待つ」ことを指示される場合は、目的やおおよその目処をたてておられるはずですので、そのことを確認してみましょう。「待つ」目的とその効果についてきちんと説明をしてもらえて、その理由にも納得ができれば安心して「待つ」ことができるはずです。
無理に学校へ連れて行こうとしたり、やみくもに刺激を与えたりすることには問題がありますが、無目的に待たされることは、親にとっても負担が多くなります。また、時間が経つことによって二次的に生じる幼児化、わがまま、ひきこもりなどの問題もありますので、相談機関としっかりと意思の疎通をはかり一月程度を目安に考えるとよいでしょう。
愛情をそそいで子育てをしてきた親にとっては、愛情不足が不登校の原因と言われるのはとても辛いことです。全国の相談機関で、不登校の原因を愛情不足と判断してきた現状があります。
現在、核家族化が進み、共働きの家庭が増える傾向にあり、過去の家庭のあり方とは変わってきてはいます。しかし、そのことが愛情不足を生み、その結果不登校を引き起こしたと考えるのは短絡的です。
一時期全国で、子どもの状態を確認しないまま、判で押したように「愛情不足」と判断されることがほとんどという状態でした。しかし、それぞれのケースをきちんと確認したところ、愛情不足が原因と判断できるケースはほとんどありませんでした。
子どものしたがることをさせなさい、と指示をだす相談機関もありますが、不登校状態の子どもたちを、度を越して甘やかすことにも大きな問題があります。不登校状態が引き起こす二次的な問題である、幼児化やわがままを助長するだけではありません。
学校を休み始めた途端、親が自分の要求を喜んで受け入れてくれると、これで良かったのだと子どもは安心して学校を休みます。その後、完全に学校へ行かなくなった子どもを見て不安になり、いいかげんにしろと親が登校を促すことなどがよくあるのです。これでは子どもたちは、どうすればよいのか混乱をきたします。
不登校状態の子どもへの対応は、子ども自身の性格や状態、家庭内の状態などを総合的に見てそれぞれの子どもに適切な対応を判断する必要があります。紋切り型の判断を安易に受け入れるのではなく、きちんと自分の家庭の状況に即した判断をしてくれる相談機関を探しましょう。
家庭教師に来てもらえれば、他人との接触も増え、勉強もさせられるのでよいのでは、と考えられがちです。親からすれば勉強も気になるところですが、ひきこもり状態になって家族以外との接触が少なくなくことは、切実に心配な問題です。
確かに、家庭内に第三者が入ることは刺激にはなります。けれど、その刺激がよい刺激となるとは限りません。専門家が介入する際でさえ、十分な準備と専門知識を要する作業ですので、安易に家庭教師を入ってもらうことは避けたほうがよいでしょう。
現段階で、第三者が家庭内に入れるのかどうかきちんと調べた上で、専門家と一緒に入るようにするか、専門家の全面的なサポートが必要です。一度家庭教師が入ることで、第三者が介入することに拒絶反応を示した場合、後々不登校を乗り越える際の障害となることも懸念されます。
また、勉強だけをさせてしまい、学校から気持ちが遠のくことも、子どもの本来の意思で学校の選択を考える際に、大きな問題を残す可能性もあるので注意しましょう。