不登校の問題に直面したとき、多くの保護者が転校を一つの解決策として考えます。しかし、転校が必ずしも効果的な解決策ではないことがあります。この記事では、転校により不登校の問題を解決するケースと考慮すべき点について詳しく説明します。
転校に効果があると考えられるケース
明らかに特殊な行動をする友達が原因の場合
学校での人間関係の中で、明らかに特殊な行動をする友達がいて、その子が原因で不登校になっている場合は、転校することで状況が変わる可能性があります。
ポイントとなるのは、「明らかに特殊な行動をする友達」だということです。単純に気が合わない友達、嫌ななことをされた友達というだけであれば、転校先でも同じような状況に陥るかもしれません。
しかし、このような問題が発覚した場合は、まず学校側と相談し、可能な解決策を模索することが重要です。直接的な解決が難しい場合は、「転校」を検討せざるを得ないこともあるでしょう。
特定の先生が原因で不登校になっている場合
先ほどの明らかなに特殊な友達が原因で不登校になっているケースと同じように、独特な先生との関係がうまくいかず不登校になることもあります。この場合も転校により、別の学校での新しい先生との関わりが子どもの学校生活を改善する可能性があります。転校先で独特な先生と同じような先生にはもう出会わないだろうと推測されなければ、転校しても転校前と同様に不登校になってしまうかもしれません。
しかし、こちらもまずは学校側と相談し、可能な限り現状の学校での解決を試みるべきです。
親の仕事の都合で引っ越しをして不登校になった場合
環境の変化という「外的要因」が不登校の原因の場合、以前の学校では欠席などは見られなかったケースであれば、「転校」という形で元の学校へ戻れば「不登校」が改善する可能性が高いケースにあたります。
転校に注意が必要な3つのこと
1. 子どものもつ傾向
不登校の原因が何であるかを正確に分析することが必要です。上記にあげたような明らかでかつ特殊な「外的要因」だけでなく、本人の性格などの傾向という「内的要因」などが、不登校の原因に含まれている場合は「転校」という「環境の変化」だけでは問題解決の手段にはなりません。
2. 環境の変化に対する耐性
新しい学校という「環境の変化」に適応できるかどうか、転校によって新たな問題が発生する可能性があるかを考慮する必要があります。「環境の変化」に適応しづらいタイプの場合は、「転校」によってより問題が複雑なってしまうこともあります。
3. スクールショッピングのリスク
スクールショッピングは2パターンあります。ひとつめは、保護者が「子どもに合う学校が必ずあるはずだ」と考え、転校を繰り返すケースです。ふたつめは、子ども自身が「わたしにはもっと良い場所があるはずだ」と適応できない現実を外的要因である「環境」に帰結してしまうケースです。
しかし、「環境」のみに100点を求め続けることは子どもの適応力を弱め、長期的な解決にはなりません。転校を決断する際には、子どもとよく話し合い、専門家の意見も取り入れることが重要です。
まとめ
転校は不登校の問題を解決する一つの手段ですが、すべてのケースで効果的とは限りません。まずは現状の学校で可能な解決策を模索し、それでも解決が難しい場合に転校を検討せざるを得ないかもしれません。転校を決断する前には、子どもの状況を十分に理解し、専門家の分析を受けながら慎重に進めることが重要です
参考文献
- 文部科学省. 不登校児童生徒への支援について. 文部科学省 不登校児童生徒への支援について
- 令和4年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果. 令和4年度調査結果
- 誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策（COCOLOプラン）. COCOLOプラン
